リペアについて
こんにちは、岸田です。
ここ最近、服のリペアをすることが
数件ですが続きました。
魂を込めて作った服が
たくさん着こまれている姿を見ると
めちゃくちゃ嬉しいもんです。
また、生活に寄り添う服を
着てくださっている方と一緒に作り上げていくことで
服が完成形に近づく感覚があります。
僕の服はやっぱり仕上がりたてよりも
生活と共に着込まれた方がかっこいい。
こんな体験が増えてきて作り手としては幸せです。
今日はそのリペアについて少しお話できればと思います。
リペアと言ってもなんでもかんでも修理を受けているわけではなく
基本的には僕が作った服のリペアをしています。
当然僕はお直しのプロではないので、
恐らく大抵の服のリペアは街のお直し屋さんの方が
スピーディー且つ安価に仕上がると思います。
ですが僕の作った服の関しては、
間違いなく僕がリペアするのが一番だと思っており、
そりゃ自分で作ったものだから、という理由もありますが、
手織りの生地で、手縫いで仕上げをしているので
量産された一般的な服とは作りが違う、ということもあります。
特に裂き織りの服に関しては
そもそも生地が特殊なので扱いづらいうえに、
誰に教わったでもなく僕自身が試行錯誤した縫い方で仕上げているので
街のお直し屋さんでは直せない部分もあるのでは、と思います。
具体的に今回リペアした服を例に紹介してみます。
下の写真を見ていただきたいのですが、
1枚目がビフォー、2枚目がアフター。
この方はもう2年以上着込んでくれています。
常に袖をまくった状態で着用していたようで、
袖の折りたたんでいたであろう部分に
糸の片寄りと抜け落ちがありました。
なんなら袖もまくったまま洗濯でもしたのかな。
ここにこの方の生活が刻み込まれています。
これをどのようにリペアしたかというと、
元の生地と全く同じ組織になるように
同じ糸を使って糸を一本ずつ、
ひと目ひと目通していきます。
いわば、フリーハンドで織り直していくようなものです。
これができるのは手織りの生地の利点かなと思います。
アフターを見てみると、
ほとんど元の生地と同じように再構築することができました。
正直、多少糸が抜け落ちていてもなんの問題もないのですが、
元の生地の跡形もないほど抜け落ちてしまうと
再構築することも難しくなってくるで、
その前にお声がけいただけると最善の策を尽くせるかと思います。
と、リペアの具体例を紹介してみました。
僕の中では、リペアをすることで作り手としての
責任の1つを果たすことに近づけているのかなと思っています。
服が仕上がるまでの責任、
服が使い手の手元に届くまでの責任、
そして服が使い手に届いてからの責任。
やっぱり服を作るからには、
作った服がその使命を全うするまでの
面倒を見てあげるべきだと思うし、
その使命を全うしたときにやっと、
服は完成を迎えるものだと思っています。
またそれに加えて、
着てくれている方々にも愛が伝わり、
服に対する価値観を検討するきっかけになるといいな、
と勝手ながら思っています。
最後は少し僕の服作りに対する想いが入ってきましたが、
それはまたそのうち詳しくお話できればと思います。
とにかくお伝えしたかったことは、
こういう服の楽しみ方もあっていいんじゃない?
ということかな。まとめが軽いな。
けど楽しくないと意味がないと思います。
なるべく僕の活動を通じて楽しんでいただけるように
これからも精進します。
ではまた。