9月14日
こんにちは、岸田です。
作業をしていて感じたことがあるので、
少し調べつつまとめたいと思います。
最近、珍しくシルクの糸を使って
生地を織り、縫っていました。
主にそのお話です。
今までいわゆる高級素材であったり、
一般的に言う”良い素材”というものに
あえて手を出していませんでした。
これは僕の感覚的なものになってしまうのですが、
高級な素材を使うと
なんとなくそりゃええもんできるよね、
っていう感覚がありました。
実際、高級素材を使えばいいものができるとは限らないのですが。
ただ、高級素材を使っている”から”良いものだ、
という基準があまり好きではありませんでした。
僕の活動の方向性から考えても、
廃棄になるようなものから新たなものを生み出す裂き織りや、
綿花を種から育てて、全ての工程を手作業で
糸・生地・服へと作り上げるLand to Skinも、
いわゆる一般的な高級素材・良い素材という軸からは外れています。
どんな素材でも、しっかりと糸と向き合い
一本一本と対話しながら織り上げることで
僕なりの”良い素材”を生み出してきたつもりです。
そんな活動を続ける中で、
ついに、といったら大げさですが
この糸で生地を織ってみたいと感じる
シルク糸に出会ったので今回の制作に至りました。
今回は経糸も緯糸もシルク100%で生地を織ったのですが、
まず織ってみて感じたことは、
ホコリの出方が圧倒的に少ない!
普段、コットンやリネンを織ってるときと比べのものにならないくらい
ホコリが少なかったです。
織りながら、なんでこんなにホコリの出に差があるんやろなって考えていて、
一つの仮説が浮かびました。
”シルクはコットンやリネンに比べて繊維長が長いから!”
要するに、コットンは繊維が短いので
糸になっていても絡みきらん繊維がいっぱいはみ出してきとるんや!
って考えました。
繊維長といわれてもパッとしないと思います。
普通に生きてたら、生地は実は糸の集合体であることすら
気づかずにいると思うのですが、
なんなら糸も無数の極細い繊維の集合体なんですよね。
その最小単位に当たる繊維の長さのことを指しています。
漠然とシルクは繊維長が長いから、薄くて繊細で光沢のある生地が織れる
というイメージがあったのですが
実際にコットンなどと比べて
どれくらい繊維長の差があるのかは知らなかったので調べてみました。
まずコットンの繊維長なんですが、
わかりやすくざっくりですが一本の繊維が20-30mm程度で、
35mm以上の繊維を持つコットンは長繊維綿と呼ばれるほどらしいです。
これは大正紡績さんでコットンのお話をお伺いしたことがあるので
なんとなくイメージが付いていました。
一方でシルクの繊維長はというと、
1500m程度ということです。
ミリじゃなくてメートルです。
比べのものにならんくらい長い!
恥ずかしながら実際数字でみるとびっくりしました。
蚕が頑張ってるんですね。。。
で、話は戻って、
現段階ではデータ量も少ないし、繊維長以外の要因を省けないので
この繊維長の圧倒的差が実際のところ
どれだけホコリの出に影響を及ぼすのかという
分析にまでは至ることはできないのですが、
おそらく因果関係があるものだと思います。
ちなみに生地を切ったり縫ったりしていても
やはりホコリが少なくて快適でした。
今後は肺のことも考えてシルク糸で作業したいなと
叶わぬ思いが出てくるほど快適でした。
そしておそらく皆さんが気になるのは
ホコリではなく、服の仕上がりだと思うのですが、
手織りのシルクは、一般的にシルク生地と言われて思い浮かべる
ツルツルした素材ではなく、
肌当たり柔らかく、けどどこかさらっとしている感じです。
10月のcontextでのイベントに持っていく予定なので
楽しみにしてもらえると幸いです。
ではまた。